敏也苑

 

 

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フジテレビの「笑っていいとも」が終わるきっかけのタモリさんのコメントで、

「反省会をやらない」というのがあって、

小澤と同じポリシーなんだなぁ、と強く思いました。

「ホントに良いミュージシャンはさ。

自分でちゃんとその日の悪かったところはわかるもんだからさ。」

といって、筆者が同行する小澤の主催イベントや、こども向けのワークショップなどの打ち上げや帰路で、「反省会」らしい雰囲気になる事は一度もありませんでした。

でも。

自分なりに「やった感」があった時などは、褒められたい信号や合図がでてくるので、

面白いので、放っておくと、筆者の事をほめる方向に向いてきます。しかし、それは、必ず最初は、一般論として切り出されます。

「センスがいいっていうのはさ。何も洋服を選ぶのがうまいっていうんじゃなくて、

立ち振る舞いや、発言、ものを見る目について、的確かどうか、っていう事だと思うだんだよね。」

聞き流していると、

「センスがいいよね、そのセンスを見込んで、今日の俺はどうだった?」

と、聞いて、

彼の喜ぶっぽい事を筆者が言うと、

「センスのいい人にそういってもらえるんだったら、今日はいい日だったという事だね。」

そういうと、

「タバコ吸っていい?」

と、車の窓を人力でくるくるあける彼の姿が思いだされます。

最初の写真は、小澤の兄パーカッショニスト渡辺亮さん。

かなり前からスケジュールととってもらって、

「他愛のない話、意味のない話を淡々とできる仲間だったよね。」

という上記みたいな話をしみじみと亮さんからもお宝の貴重な話をしつつ、

楽器のメンテナンスなどをしてくれる時間をくれました。(同行してくださったノリさんにも感謝)

(ここまで到達するまでの作業では、ガドガド、楽団「ぺとら」の福澤達朗氏にもご尽力いただきましたことを感謝します。)

写真のアタバキは、亮さんが小澤に「ブラジル土産」として渡すために、旅の道中もずっと持ち歩き、機内でも抱えて持ち帰ったものだそうです。

小澤は、2013年に楽器保管用に借りていたアパートを終活で引き払う時に、2/3くらいの楽器を自分の名前が出ないように産廃業者に破棄を委託して処分をしましたが、10代の頃に苦労して入手した楽器は大事にとってありました。

仏壇のある小澤家の床の間に、パーカッションのセットを組み、サルサバンド時代の古いカウベルや、ギロなども設置しました。これで、いつ誰がお線香をあげにきても、彼らしさを感じる事ができるね、と亮さんにひとつひとつの楽器の物語を聞きながら、作業をしました。(同セットに準じたものをお姉さん宅にも用意しました。)

小澤の脳がすごいと思うのは、楽器を「アパート」「車」「こどもの城」「幼稚園」の4つに分割して置いてあるのをすべて把握していて、それぞれの仕事の前にそれぞれの場所に置いてある楽器をピックアップして準備をするために幼稚園にいったん運びます。幼稚園というのは、私の勤務園で私がリトミックを教えている部屋です。小澤はここを基地として、ジェンベや、ターマの紐を締めるなどのパーカッショニストの準備作業をいつもしていました。

2013年5月に自分が癌とわかってから、幼稚園の自分の作業スペースにくる度に、ひとつずつ楽器を持ってくるようになりました。それは、彼が20代のバイト時代、石井倉庫(美術のアトリエ)で暇な時間に手作りしたツリーチャイムだったり、ジェンベの装飾用のシェシェに棒をつけてスタンドにつける仕様にしたオリジナル楽器などの「将来、二人で一緒にやる音楽教室のために必要なもの」を選んで少しずつ見つけては運んできているようでした。ビールの王冠のコレクションもありました。釘でつくったチャイムなどは、本当に彼らしい純粋な音がします。

楽器の大量処分の時には、主に民族系の楽器を手放しました。その中には、ボリビア音楽の毛皮のついた「ボンボ」などもあり、足に鈴をつけた彼がボンボを叩く姿が好きだった私は、切ない気持ちでいっぱいになりましたが、

「楽器を他人に譲る事は、過去に苦い経験があるのでしたくない」

「楽器がバラバラになる事は、自分の身体がバラバラになることと同じ」

私の幼稚園は、2年後の平成28年に閉園が決まっており、園長である私は、その後に小澤と一緒に音楽教室を開くつもりでした。小澤は自分の命がそこまで持たない場合は、楽器だけでもそこに参加させるように」

そういう気持ちで、空き缶や鍋をシンバルスタンドにつけられるように加工した仕事のもの、腹水がたまって辛い状況だった中、長年使っていないでカビだらけだった「ボンゴ」などを自分で磨いておいてくれていたようです。亮さんにボンゴのメンテナンスを頼むと、「もうこれは完璧だよ」と言ってくれていて驚きました。

体調が悪化して、ライオンキングに出演ができなると、

「俺、今日一日何もしなかった人にならないようにがんばった」

と、夜に電話で報告をする時間までに、必死に何かをやりとげようとしていたようです。

 

高価で貴重な民族系の楽器を手放したのも、

扱えない楽器を私が管理をする事で人から非難される事まで、思いやっての事だと感謝しています。パンデイロ関係においては、遺族の9名にひとりひとつを「パンデイロウェブレッスン」受講用に持っていただいている他、必要な時に説明ができる状態にするための準備中です。たまたま、本日は、東京のパンデイロチーム「ジングルジム」の練習会に小澤がコレクションしていたいろんな時代のパンデイロの皮を持参し、皆さんにみていただく機会がありました。これに関しては、発展させていくつもりです。

小澤が組んでいたパーカッションセットを忠実に再現するのではなく、

小澤の持っていたもので、何か新しい事をした方が彼の霊は喜ぶだろうという事で、

妖怪研究家で、美術家でもある亮さんが、

「楽器の木」をつくってくれました。

スタンド類が、いろんな場所に保管していたのを集めたので、どれとどれをドッキングさせるののかは、試行錯誤でしたが、私の記憶と、亮さんの勘を足して、最終的にはひとつもあまる事なく、マッチングできました。

 

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小澤の分身の「パンデイロマン」も登場したので、youtubeにも掲載しました。

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2/3『パンデイロヲタタケバ」で、皆さんのご協力で製作させていただいた小澤敏也追悼アルバムが完成しました。

タイトルは、亮さん命名で「敏也苑」。

辞書の広辞苑のように、小澤敏也のいろんな事がわかる内容という意味だそうです。

 

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神出鬼没に、どこかに持っていったり、みんなで見る会を持ちたいと考えています。

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