フルキング3ケ月連続単独公演「ヘビの唄2014~お前が迷い込んできたのさ・お前が迷い込んでいるのさ」終了
小澤敏也が25年くらい在籍していた佐野篤率いる「宇宙ロック」バンド「キング」が、6年ぶりにフル編成での公演を3ケ月連続という企画で行ったものが、昨夜千秋楽でした。
キングの編成は、フライヤーの写真をみてわかるとおり、
ツインドラム、
ツインパーカッション、(駒澤れお、小澤敏也の時代、津田祐介、小澤敏也の時代を筆者はみました。)
トランペット、トロンボーンの金管セクション、
ベース、ギター、キーボードという大規模なもので、
メンバーがそれぞれコーラスも担います。
オフィスジングルジムが成立されたちょうど2009年くらいから、
KINGは、様々な編成を試みて、フットワークを軽くしたそうなのですが、(小澤談による)
佐野篤を中心として、弟(Tb佐野聡(ラリちゃん))、親友(per小澤敏也)、 弟子(per,bass)という責任のあるポジションの中で、
「まだ、俺は、kINGにやり残した事がある。PPSで訪れた全国の演奏場所の中で、
自分がセレクトして、プロデュースをして、全国を廻って紹介したい。」
と言って、進んでプレイングマネージャーを引き受け、狙いを定めた各所へのブッキングを務めていました。
それと同時に、
大人数でなくなった場合のKINGの楽曲をパーカッション二人でどう演奏したら良いのか?
私たちのアトリエで、いろんな実験をしてしていた様子が思い出されます。
長く楽器保管用のアパートに入れっぱなしになっていた、
アフリカンドラムのドゥンドゥン(Dundun)を幼稚園のPTA椅子に横に置いて、
左手でカウベルを持った演奏を随分と試行錯誤をしていました。
小澤の脳内プレイの中で、KINGのメロディラインは完璧に再現できていたのでしょうね。
でも、下記の小澤の記述にもあるとおり、
KINGのサウンド、音像は、冗談を言い合いながらのリハーサルでの共同作業でつくられるものです。
でも、小澤は予習をかかしませんでした。
小澤の機材車には、レギュラーに使用するシンバルや、ジェンベやタンタンや、ジェラルミンケースに入ったアゴゴベルなどの小物がいつもたくさん積まれていましたが、
小澤は、いつも仕事の内容によって、それを積み替えていました。
小澤の楽器の保管場所の遠い順から、それをどうやって搬入するかを考えるパズルは、すごい芸当で、理解できないものでした。
こどもの城のシンセ室には、ジェンベやアウファイア等。
こどもの城の湿度温度管理が完璧な楽器倉庫には、コンガやいつもは使わないスタンド類。鉄製のもの。
自宅近くの楽器専用のアパートには、自作のこども用の楽器や、フォルクローレ系、ティンパレス等のラテンもの、スティールドラム等が、電気も水道もとめられている環境で収納してありました。だから、夜間に楽器を取り出すためには、懐中電灯で照らしながらで、室内はもちろん土足でした。(このアパートを終活で2013年9月に引き払い、ここにあった楽器のほとんどはそのまま産廃業者に破棄をしました)
自宅には、ワークショップで貸し出すパンデイロとマイク類、LIVE用の自分のパンデイロだけは、いつも自宅に持ち帰っていました。
究極は、自宅の庭にブリキのゴミ箱を置いて、その中にクッションを詰めて真空状態を模して、金物系を収納。
(これは、私も知らなくて、没後に発見されて、兄さんとびっくりしました)
そして、車の中、
筆者の勤務先の幼稚園のホールのワンコーナーを「自分のアトリエ」として、
PPSで使用するチンパウ、タンタンなどをその都度ごとに置き換えていました。
まるで、クロスワードパズルのように、
都心の仕事に行くついでに「こどもの城」に立寄り、楽器をピックアップし、
仕事帰りにアパートによって、懐中電灯で、楽器を探し、
翌日に幼稚園の終業後に、アトリエ作業で、ターマの紐を調整したり、
木の実のガラガラを広げてメンテンスをしていました。
説明ばかりで恐縮なのですが、
普通のパーカッショニストは、シンバルやツリーなどのスタンドを立て、コンガで身の回りを囲ったセットを組みますよね。
小澤は、ほとんどの場合、一つの曲にひとつの楽器です。
それは、小澤は「もう少し足が長かったらギタリストになりたかった」と冗談で言って(本当の理由は別にあるので、私に会ったら聞いてください)
いましたが、パーカッションをギタリストの心意気で演奏をしている独自のスタイルを貫きました。
だから、
リハーサルの前には、彼の中での、「楽器オーディション」があったのですね。
KINGの楽曲を聴くと、
私は、彼のその作業の後ろ姿が、映像ででてきてしまいます。
あれだけ準備をしていたんです。
好きなバンドだったと、言葉では聞いていませんが、良く伝わってきます。
今回のフル編成のフルキングの中で、
「ブルーイメルダ」は、そんな小編成KINGの要素も感じとれました。
そして、もちろん「睾丸にガツンとくる」と、昔、よく篤さんがMCで言っていたような熱いリズムもツインドラムならではなのでしょう。
宇宙ロックのグルーヴでした。
そんな小澤敏也を知っている人には、追悼の気持ちになるLIVEであり、
小澤敏也を知らない人にとっては、それもまた完璧なものだったと思います。
最期に、2010年の小澤による「小澤敏也通信」のKING4Pの紹介文を掲載します。
とにかく一度聴いてほしい!見てほしい! ずいぶん長くやってます。 佐野篤の歌詞が好きだ。 日本語の自然な流れのままリズミカルに仕上げている。 メロディーも美しく、はかなく、ときに激しく、たえずロックしている。 そこに佐野聡の旋律アイデアが加わると、まだ見ぬ世界にひきこまれる。 ライヴではメンバー各々がひきこまれた世界から音を発する。 そして「瞬間」を彩っていく・・・・
このバンド、リハーサルが楽しい。
創作作業になってる。
いつかリハーサルも見に来てください。
見た目もすごいですよ。ある意味ビジュアル系です。
KING=4P 関西ツアー 佐野 篤’(vo,gt) 佐野 聡(tb,fl,etc) 津田悠佑(ba,per) 小澤敏也(per)
3月4日(木) 名古屋「KDハポン」
3月5日(金) 広島「OTIS!」
3月 6日(土) 神戸 「旧グッゲンハイム邸」
3月 7日(日) 大阪「後藤屋 材木商店」
KING、初のツアーです!すっげ~いいですよ!ご当地の方、近辺の方 是非きてください。
小澤敏也が、マネージャー兼、運転手をつとめ、移動車両も、小澤の機材車を使用したため(4ナンバー)、
メンバーは、リクライニングもない車での長距離移動をされたそうです。
帰りの道中で、篤さんらから、小澤の機材車に車用のクッションがプレゼントされ、
それは、小澤が癌と演奏活動を両立する時の休息用に大変役に立ちました。
現在は、楽器とともに、展示しています。
KING公式サイト
http://uchuurock.com/
本著述では、前世代のフル編成をKING、現在のフル編成をキングと表現しています。小編成はKING4P等。これは、小澤のスケジュール手帳に準じています。