こどもの城雑記
「こどもの城 ガドガドスーパーライブ」にて、武蔵美サンバ時代の方、
こどもの城現役、元職員、元アルバイト、
こども時代に頻繁に来館していて今は大人になった縁のある方が集結して、
間もなく閉館という事情とからんで、
小澤のいないガドガドに熱く集中した時間でした。
その中で、ガドガドのリーダー山本誠さんが、
小澤を偲ぶ新曲を書き下ろし、
全4回公演で上演しました。
舞台には小澤の遺影、兄パーカッショニストの渡辺亮さんは、
小澤の分身のマペット「ぱんでいろまん」をシンバルの
ハイハットスタンドにかませてセッティングし、
ぱんでいろまんのジングルが鳴り続けるように操作しつづけました。
メンバー紹介では、
「パーカッション小澤敏也」と紹介されていました。
初日には、小澤の姉が、楽日には兄家族が応援にかけつけました。
小澤のいろんな時代を知るいろんな方と話しをする中で、
小澤の「こだわり」について、
ひとつ特徴的な事を思い出しました。
それは、「A4の紙類を絶対に折らない」というもので、
人からもらった自分に関係のないフライヤーでさえ、
絶対に折らないように、カバンにもいれずに大切に持ち帰っていました。
カバンに入れるとよれてしまうのを嫌ったからです。
終活で、紙類を処分するときに、折れていない紙類が大量にでてきました。
でも、それは折れていないだけで、かなり汚れていました。
ライオンキングのパーカッショニストのスペース、
ライブの時のパーカッションセット、
小澤のセットするもののイメージは直角90度。
自宅の文房具たちも、すべて缶に入っていて、
使用する度に缶に戻さねばならず、とても使い辛いけれど、
缶の蓋をパチっと嬉しそうにしめていました。
終末期に缶があけられなくなると、
マグネット式の本の形をした収納グッズを愛用していました。
出先で、助手である筆者が代わりに
相手方のフライヤーを鞄に入れるために折ったりしようものなら、
「あ、折ったな!」
と、大目玉です。
反対に、彼が意図的にフライヤーを折る事があります。
それは、わかりづらいのですが、彼の中での反対表示だったそうです。
気に入らない相手からもらった紙は、
その相手の前で、ビーっと音がするくらい折り紙のように折ってやるそうです。
「今の見た?俺、折ってやった。」
得意満面のドヤ顔でまるで復讐をしたみたいに言っていたけれど、
相手にはとうてい伝わるはずのない小さい出来事だったでしょう。
こどもの城の円形劇場と共同の業務用のエレベーターの混む時間、
駐車場の搬入口に近い場所のうんちく、
駐車場に入る時の守衛さんへのあいさつ、
喫煙室で会う上階のマネージャー部門の方々との会話の風景、
お気に入りだった体育事業部の体育会なノリ・・・。
こどもの城での一番のお気に入りは、
こどもたちが生のバンド演奏にあわせて楽器を鳴らしたり、
ポンポンを持って踊って応援してくれること。
中でも女の子が汗をかいてポンポンを振ってくれると、
顔がニヤけて、一日中その余韻に浸れるほどでした。
「こどもたちに音楽で喜んでもらう」ことは、
彼にとってのこだわりでもあったので、
ちょっと無関係だったその他のこだわりも思い浮かんでしまいました。
「俺はさ、こう見えても青山系ミュージシャンだからさ。」
と、渋谷の宮益坂を昇り切った「こどもの城」から、
地下鉄「表参道駅」〜プラッサ11までのエリアを
自分の大切な場所としていました。
「こどもむけの自分」の延長線上の道路むこうに、
「ブラジル音楽の老舗のプラッサで演奏する自分」がいたという青山界隈。
こどもの城閉館後は、街並も変わることでしょう。
城からプラッサに向かう道で、
たった一瞬東京タワーがみえるポイントがあります。
そこから見える月の風景を、いつかカメラに納めなきゃ、
と、思う、ガドガドのラストステージの雑記でした。