アザミ革工芸展@京王百貨店
小澤敏也と共演したミュージシャンや、会場設営に関わっていた皆さんはご存知だと思うのですが、
小澤敏也がいつも携帯していた「ビリンバウケース」が革製品だったこと、
ご記憶でしょうか?
ビリンバウケースと、愛用だった折り財布、
両方とも、2007年に亡くなられた小澤敏也のご母堂様(ひろ子さん)の作品です。
そのお母様が所属をしておられたのが、
「アザミ会」だったそうで、毎年、京王百貨店で展示が行われるので、小澤のデパートの一押しは、京王デパートでした。
小澤から伝え聞いた話なのですが、その会の中でもお母様は、事務局的な役割の中でもご活躍をされていたそうです。
学生だった小澤が帰宅すると、食卓には、お母様の革工芸の道具や素材が満載で載っていて、
食事の仕度の度に、それらを片付けて、食卓を整えて、また、片付けが終わると、道具を広げる繰り返しで、「主婦には机がないから」、母の苦労を思いやっているようでした。お母様が亡くなられた直後に、小澤はアジアンウィングス同志社公演に初参加し、おおたか静流さんに出会います。同時に、アフリカの風習を見習って、「身内がなくなったら身体に穴をあける」とピアスをあけたそうです。小澤がパンデイロをメンテナンスする道具の中にも、「小澤」ではなく「小沢」と書いてあるのは、お母様から譲り受けたものだそうです。
それで、このような形での展示は、今回限りだと、小澤の姉の恵子さんよりお誘いをうけて、
小澤と京王デパートに行くたびに聞かされていた状況をこの目で観ておこうと、足を運び、
すぐに気づいたのは、
「わぁ〜。小澤家みたいだ〜。」
と、小澤家にあった革でつくったスリッパ入れとか、壁の装飾とか、一見では、革というよりは、特殊な素材のガラスのように見える素材の作品群に圧倒されました。
自らの事を「造形派パーカッショニスト」と表していたのも、
「俺は、こんな家の子なんだ。」
という意識があったのかもしれませんね。