Quatro Cores CD制作

小澤敏也が、亡くなるまで籍を置いていたトロンボーンカルテット

QUATRO CORES (クアトロ コーリス)
佐野聡 (tb)池田雅明 (tb)山下定英 (tb)堂本雅樹 (b-tb)小畑和彦 (gt)加藤実 (pf)

Quatro Cores のCD制作の場に、小澤敏也の楽器の提供と、バツカーダ部分の収録に、助手の坂本が参加させていただいてきました。

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バツカーダの楽器のうち、小澤敏也オフィスジングルジムより提供させていただいた楽器のうち、見つけやすいものから、「マルメラアダ特製 ピカイアパンデイロスペシャルモデル プラヘッドパンデイロ」(完売)

これは、ライブ会場でも販売していたので、お手持ちのファンの方も多いと思います。今回のレコーディングでは、

「カンカンに張ったテンションの高い音のパンデイロ」というオファーをいただいて、小澤と宇宙ロックKINGでも、小澤とは30年の付き合いの佐野聡(ラリちゃん)(KINGリーダーの佐野篤の弟)と、私で入念に選んだのが、この一品でした。

小澤敏也のパンデイロコレクションは、イコール、マルメラアダの阿部博さんが製作されたオリジナルモデルパンデイロ博物館でもあるので、パンデイロの現状保存、修理をするものなどの鑑定を阿部さんご自身にしていただいています。その中で、小澤がちょうど、2010年くらいにジングルジムでのバツカーダにもプラヘッドを導入しはじめた頃のフラッグモデルの青パンデイロには、別のピカイアモデルのプラヘッドが貼られていました。

でも、それが損傷が激しかったために、このまま放っておくと、径の保存にも影響がでるとの判断で、今は完売で発売を停止している「PPS」モデルのプラヘッドを阿部さんが、「小澤敏也パンデイロ博物館」にお店のストックから提供をしてくださったものです。

レコーディングのバツカーダ部分には、主にこれが、小澤の得意の「P」破裂音を忠実に、佐野聡(ラリちゃん)が再現してくれています。

重ね録りで、何十にも重ねて、いろんなリズムパターンをらりちゃんが演奏しているのですが、これはもう、世界中で一番、小澤のリズムパターンに近いと確信します。

それは、小澤の弟子には、小澤は、

「俺の真似をするな」と、個性を重んじるようにしているので、逆に、小澤の門下には、小澤に似た人はいないし、「小澤に似ている」人がもしいたとしたら、それは、小澤の本望でないのです。似ていないオリジナルの人こそ、パンデイロッカーを継ぐものである証といえます。

ただ、リズムパターンの引き出しについては、その人の歴史が出るので、長年KINGで、活動をともにしていたらりちゃん、そして、ドラムのつの犬さんも、かなり小澤に近いリズムを出していて、びっくりする事があります。

もともと、これらのリズムは、佐野篤さんと、小澤がKINGの創世記に、河原でキャンプをしながら、世界中のリズムを採集しながら作り上げたものです。だから、佐野篤さんのリズムには、小澤と共有している部分がかなりあるし、らりちゃんは、同じ血が流れている兄弟として、同メンバーとして、それがわかっている唯一の人なんですよね。

(亮さんと小澤は、小澤が亮さんへのリスペクトから、『あえて似ない、似せない、マネととられらにように』慎重に距離をとっていた事は、音を聴けば明かです。)

らりちゃんの耳の良さは、天下一品ですから、

それはもう、小澤の音を忠実に出す部分は、きちんと役割をこなしていきます。でも、それは、科学の魔法で、らりちゃんは、小澤ではないので、1曲、まるまるその技法では、叩き続ける事はできないのです。実際に、8小節ほどを録音しては、ループでつなげています。それでも、かなり身体に応えている様子でした。小澤の音を出すというのは、本当に大変!でも、その音を知っているからこそ、中途半端にはできない。らりちゃんならではの苦悩を感じていました。

バンマスの山下さんが、「何かが足りない。パンデイロのソロ的な要素」というリクエストがありました。そしたら、らりちゃんは、素敵なリズムパターンを出してきました。

山下さん「何それ?」

らり「マルコス・スザーノのDVDにあったやつ」

らりちゃんは、KINGでの小澤のスタンダードリズムを網羅しているだけではなく、小澤のネクストステージまでちゃんと、リサーチ済みなのですよね。

「このままでは、俺は、佐野家の人になってしまう」

小澤は、よく冗談で言っていましたが、ホントに、すごい絆なんだなぁ〜と思いました。

 

PPSモデルの上は、小澤が最後にくみ上げた「根性のないまりちゃんがパンデイロを嫌いにならないための超軽量350gモデル」です。フープも軽量のために、小澤が自分で曲げて、ジングルも、アルミを自分で切って曲げた、小澤の力作です。パンデイロでは、よくミュートに、ビデオケースやクリアファイルを切ったものをジングルに入れるのですが、私のものには、小澤が切った画用紙が入れてあります。なので、山羊皮とマッチする優しい音です。これで、刻む系の音をらりちゃんが入れました。

もうひとつのPARKAのパンデイロは、らりちゃんの私物。バツカーダの中の、「ドドス」というらりちゃんらしい低音は、このパンデイロです。だから、CDの中で、小澤とらりちゃんが共演している音になっている筈です。実際は、らりちゃんが重ねてはいるけれどね。

 

赤いアゴゴベルは、小澤の一番のお気に入りのアゴゴです。

別撮りでは、らりちゃんがダイレクトに叩きましたが、バツカーダでは、少し、キンと鳴りすぎて、他の楽器の音が負けてしまいそうでした。

私に、天から小澤の指示が届きます。

「まりちゃん、靴下!」

急遽、私が、「アベンジャーズ・キャプテンアメリカの靴下」を脱いで、らりちゃんの持っているアゴゴに被せました。らりちゃんと私は、国立音大時代の先輩後輩の中でもあるので、らりちゃんは、すんなりと、私の脱ぎたての靴下を使ってくれました。

後は、小澤のタンボリンの中で一番、小澤が好きだった「クリンガ製のタンボリン」に、コンテンポラーニャの皮ヘッドを張ったタンボリン、小澤の代名詞でもある三連のガンザ、そして、ショカーリョ。(これについては、別記事で詳細をご紹介しますね。)

タンボリンとショカーリョは、坂本が演奏して録音に参加させていただきました。

クアトロ・コーリスのレコーディング エンジニアは、ピアノの加藤さん。クーラーの音が、録音に入ってしまうので、レコーディング室のクーラーを作業中にはスイッチオン、音撮りの時には、スイッチオフも含め、加藤さんのオペレーションです。他、メンバーのために、涼む用にに別室にクーラーガンガンの部屋があるので、加藤さんは、結局、一度も涼む事なく、黙々と、作業をこなしていました。ある種、加藤さんの演奏スタイルにも通じるスピリッツを感じました。

クアトロ・コーリス上の名物メンバー紹介でいうところの、加藤さんは、

「私も弾いて」と女子に言わしてめてしまう寡黙なダンディーさです。

 

さて、

レコーディングスタジオは、佐野家実家2階。

小澤の楽器が所蔵してある私の勤務先と、佐野家は、近所なので、楽器のかり出しついでに、迎えにきてもらいました。ほんの近所の事なので、「楽器を運ぶ時間だけ」という事で、らりちゃんは、車にネコちゃんを残し、車のKEYを運転席に置いたまま、ドアをしめて、すぐに車に戻ってみると・・・。お利口で有名なネコちゃん(ご自宅からスタジオのあるご実家とか、車で一緒に移動できちゃう猫ちゃんなんてそうそういませんからね)が、なんと!自分の前足で、車をロッックしてしまったという珍事件があり、それは、もう佐野SNSにおいて、お祭りのようにコメントが寄せられておりました。

JAFの方がかけつけてくださり、無事に、楽器もメンバーもスタジオに行く事ができました。

バンマスの山下さんのご子息も、カイシャで録音に参加。

お父さんの仕事場の

Orquestra Sambador Oriente(オルケストラ サンバドール オリエンチ)で、

Francis Silvaさんのperをよく見ている少年は、習ったサンバではないグルーヴをすでに持ち合わせている小学4年生です。

お父さんと、らりちゃんが、スルドのコントラを録音中は、

まり先生(私)と、手作りのすごろくをつくって一緒に遊びました。私と、少年がちょっと盛り上がって遊んでいると、らりちゃんが、そっとネコちゃんも投入して、「お前も一緒に遊んでもらいなさい」モードで去っていきます。

佐野家の実家で、お父様にご挨拶をしつつ、

階下のスタジオでは、お兄さんの佐野篤さんが、生徒さんに個人レッスン中。二階では、次男がバンドの収録で、メンバーのこどもも、次男の猫もいる。

佐野お父さんが、ネコちゃんにモノゴトを教えるようにしつけをしているのを横目で見ながら、らりちゃんは、黙々と、ネコちゃんの帰省専用のマイネコトイレをセットし、コーヒーメーカーで入れた美味しいコーヒーを階下の兄の生徒さんにも振る舞い、目では、時計を気にして、レコーディングの次の予定の、自分の生徒さん(チェロ)の来る約束の時間を気にしている。

 

そんななか、

「じゃ、これから、まりちゃんを送っていくから」

と、車を出してくれようとするので、

「近いし、歩いて帰れるよ。」

と、ご辞退すると、

「だって、何かあったら心配だから」

と、らりちゃんは言ってくれたので、

「いったいいくつになったと思っているの!」

と、つっこみを入れて、二人で大笑いしました。

 

出会った音大時代から30年。

こどもの城時代(ハイタイムス)

KING

KING 4ピースでの西日本ツアー

クアトロコーリス

今年はPPSの渡辺隆雄さんが率いる「ブロコ ピカイア」にも参加してくれて、パンデイロチームジングルジムとも共演をしてくれて、

また、新たな関係がはじまり、期待しています。

 

 

クアトロ・コーリスの新譜。

完成したら、こちらでもご報告させていただきますね。

 

とにかく、びっくりしますから!

 

 

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